大リーグボール養成ギプスの疑問

マンガを読んでいると「ちょっと待て、それっておかしいんじゃない?」と思う事は決して少なく無いと思います。
マンガというのはあくまで仮想世界の話ですから、恐らく作者の先生も設定に無理があるのは承知の上で「マンガとしての面白さ」を優先しているのでしょう。

しかし、そこに敢えてイチャモンを付けてみるのも下世話で面白いので(笑)「マンガのシチュエーションにわざわざツッコミを入れるシリーズ」の続編を書いてみたいと思います。

今回の題材は世代を超えて愛されている名作野球漫画「巨人の星」で、主人公である星飛雄馬くんが「大リーグボール養成ギプス」という器具を使って体を鍛えるシーン。

超有名なエピソードなので今更説明するまでも無いかも知れませんが、世代のギャップで知らないという若者のみなさんのために、一応解説しておきましょう。

大リーグボール養成ギプスというのは、野球少年である星飛雄馬が全身の筋肉を鍛えて「大リーグボール」という魔球を投げられるようにと、父である星一徹が与えたトレーニング器具の一種。

その仕組は、全身を太いバネで覆うことで、例えば腕をちょと動かすにもバネの反発力に対抗しなくてはならず、その結果として筋肉が鍛えられるというようになっています。

そして、星飛雄馬はこのギプスを体に装着して体を鍛えるわけですが、そもそもこの大リーグボール養成ギプスの仕組みは筋力トレーニングの方法として大いに間違っていると言わざるを得ません。

そもそも、筋力トレーニングというのは「集中して行う」のが基本。

筋肉はトレーニングが終わって休んでいるときに強くなるので、ギプスでずっと負荷を与えていてはオーバートレーニングになるか、ごく弱い負荷に調整しなければならず瞬発力があまり伸びないかのどちらかになるでしょう。

もしこんな方法が有効だとしたら、スポーツ選手は常に重い荷物を背負って生活していると思いますが、そんなことも無いですよね。
しかも、バネ式のギプスを素肌に触れるように装着したとしたら、体毛や皮膚がバネの間に巻き込まれてトレーニングどころでは無くなるでしょう。

さらに、金属と皮膚がずっと接しているわけですから、その部分が炎症を起こす危険もあります。
と、このように大リーグボール養成ギプスは得るものは少なく危険がいっぱいのトレーニング器具なのです。

まあ、「巨人の星」はどちらかというと根性論的な路線の漫画ですから、体よりも精神面を鍛える「苦行」として有効なのかも知れませんけどね(笑)

ちなみに、色々な文献やネットでは「ギプス」と「ギブス」両方の記述がありますが、正しくはドイツ語で石膏を意味するGips=ギプスが正しいようです。

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