運動能力は遺伝するか?

最近では遺伝子工学の発達により、色々な要素に遺伝が関わるということが明らかになってきています。

親子2代で同じ競技に挑戦しているスポーツ選手を見たりすると、「自分の能力はどんな風に子供に伝わるのか?」と思ったりもするでしょう。

というわけで、運動能力と遺伝の関係についてまとめてみました。

生れつきの能力は遺伝する

運動能力に関係している骨格の大きさや形の特長、「パワー型筋肉・スタミナ型筋肉」で書いたような速筋と遅筋の割合などは、基本的に生れつき持っている性質です。

これらは遺伝子によって決められるもの。
つまり人間を造る時に使われる設計図に記されている情報と考えると分かりやすいでしょう。

遺伝子は人体の設計図です

もちろん努力によって弱点を克服したりさらに長所を伸ばしたりする事も可能ではあります。

でも、それはあくまでも「改造」のようなものであって、基本的な設計を変えられるわけではありません。

自動車などでも、ある程度の改造で性能を変化させる事は出来ますが、軽トラックをダンプカーにすることはまず無理、というのと同じ理屈です。

つまり改造しても根本的な性質は変わらないわけで、生きている間はその影響を受けつづける事になります。

遺伝子の世界ではこのような性質を「遺伝形質」と呼んでいて、これは親から子供へ受け継がれて行くのです。

遺伝といっても「親子がそっくりそのまま」というクローン人間のようになるわけではありません。

ですが、少なくとも生れつき力が強い・走るのが速いといったような親からは、その能力をある程度受け継いだ子供が生まれてくる確率が高いわけです。

努力の成果は遺伝しない

しかし、人体の設計図として働いている遺伝子は、その人がどんな生活をしていようと変化する事がありません。

そして、子供の遺伝子は子供が出来る時点での親の体つきや能力に関係なく、両親が生まれた時から持っている遺伝子を組み合わせて作られます。

だから生れつきのモヤシっ子が血のにじむような努力によってマッチョマンになったとしても、残念ながらそういう肉体改造の成果は子供にまったく伝わらないのです。

生まれつきの能力以外は「遺伝子」として伝わりません

ちなみに生まれつきの遺伝子による性質ではなく、トレーニングや学習などによって後から身に付けるものは獲得形質と呼ばれています。

遺伝子以外にも伝わるものがある

努力の成果を遺伝子として子供に伝えられなかったとしても、親の行動は子供の育ち方に大きな影響を与えるはずです。

例えば、親の健康状態は生まれてくる子供の体質にも大きく影響します。
(現に定期的に運動する習慣のある母親から生まれた子供は、そうでない親から生まれた子供に比べて体格や運動能力・知能の発達が良いという統計データもあるそうです。)

更に親が健康な食生活や適度な運動を習慣として持っていれば、子供もその環境で育っていく事になります。

そういう意味では、両親の生活習慣が子供の能力与える影響は非常に大きいと言えるでしょう。

「子供は親の背中を見て育つ」
という言葉があるくらいですから、いざ親になった時のためにも「お手本」になれるようなライフスタイルを身に付けておきたいものです。

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