ストレッチで筋力が低下する?

筋肉を引き伸ばすストレッチは、トレーニング前の準備運動や、トレーニング後の整理運動としてよく行われています。

人によっては安全性を重視して、じっくり時間をかけてストレッチしてから運動を始めたりしているかも知れません。

しかし、ストレッチはやり方によって筋力が発揮できない原因になる可能性もあるので注意が必要です。

ストレッチの種類

「ストレッチの方法と注意点」にも書きましたが、ストレッチの方法には大きく分けて2つあります。

一つが筋肉を動かしながら行う動的ストレッチ。
体を上下させながらアキレス腱をグッグッと伸ばす動作も、この動的ストレッチの一種です。

そしてもう一つが、筋肉を伸ばした姿勢を一定時間キープする静的ストレッチと呼ばれているものです。

ストレッチのマイナス面

20年くらい前までは、トレーナーがトレーニング初心者に教えるストレッチと言えば、静的ストレッチがほとんどだったと思います。

これは多分、筋肉に急激な引き伸ばしの力がかからなくて、誰でも安全にできるからでしょう。

しかし最近になって、この静的ストレッチをやりすぎると、一定時間の間だけ筋力が低下するということが分かってきました。

『一生太らない体の作り方』でも有名な東京大学の石井直方先生によると、2000年以降の海外の論文による情報では、3~10分の静的ストレッチを行うと、最大で30%の筋力低下が起こり、この影響が約45分ほど続く可能性があるとのことです。

静的ストレッチをやりすぎると、一時的に筋力が出にくくなることがあります

2003年に北海道大学で行われた実験では、何も行わなかった場合と静的ストレッチの間に大きな差は見られなかったというデータもあるので、ストレッチや運動のやり方によって影響は変わるかも知れません。

ただ、どちらにしても過去のデータを見る限り、筋肉を伸ばしたまましばらく同じ姿勢を取る静的ストレッチは、柔軟性にはプラスになるけどパワーに関してはゼロかマイナス(あくまで一時的ですが)の効果になるということなのです。

行うべきは動的ストレッチ?

逆に筋肉を動かしながら行うタイプの動的ストレッチには、発揮できる力を大きくするという研究結果もあります。

ただし、筋肉に強い負荷がかかる動的ストレッチは、体が冷えている状態で行うと怪我の原因にもなるので、その点には十分気をつける必要があります。

結論

これらのことを考えると・・・

・ストレッチは、体を温めてから行う
・静的ストレッチを行う場合、姿勢のキープはごく短時間にする
(初心者にオススメ)
・動的なストレッチとして、関節を大きく動かすウォームアップ・セットを行う
(運動に慣れた人にオススメ)

というあたりがベストなんじゃないかと思います。

柔軟性向上のための静的ストレッチは、筋トレ後やお風呂上りなど別の時間に行うのがいいでしょう。

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