ダイエットで失敗しないために大切なこと
肥満や太り過ぎというのは、今や一種の現代病のようなもの。
特に先進国では多くの人がこの問題に悩んでいます。
一般的には「意思が弱いから痩せられない」「本人のやる気の問題だ」なんて思われがちですが、そんな風に根性論で片付けてしまっていると解決策はなかなか見つかりません。
何と言っても、世界的なセレブリティーですらダイエットやリバウンドの問題で悩んでいるわけですから、「ダメな人だけの悩み」なんて考えることはできないはずです。
「なぜ人は痩せられないのか?」
という事をについては、きちんと理論的に考えて向き合っていく必要があるでしょう。
研究所長は今までに、何百人という人たちのダイエット相談に乗り、時にはマンツーマンで長期間に渡って食事や運動に関するアドバイスをしてきました。
また、自分自身でも10kg以上のダイエットを実践し、その状態を10年以上維持しています。
そんな経験から、ダイエット成功のために見落とされがちな事実や重要な考え方についてここに書き残しておくことにしましょう。
少し長くなりますが、これからダイエットをする人、今までにダイエットに挑戦したことがあるけれど、まだ痩せられずにいるという人は、ぜひじっくりと読んでみてください。
ダイエットとは「日常を変える」事である
最初に結論から言ってしまうと、ダイエットの極意というのは結局「日常生活を変えること」なんです。
あり得ない話ではありますが、今現在デップリと太っている人が魔法か何かの力でいきなりスリムな体を手に入れたとしましょう。
果たしてその人は、そのスリムな体を維持することができるでしょうか?
残念ながら、その可能性はかなり低いと思います。
そもそも、何らかの病気や薬の副作用というような特殊な状況を除けば、太っている人というのは「太っている人の習慣」の中で生きています。
もちろん人によって体質には差があるでしょう。
少し食べ過ぎただけで太る人もいれば、毎日ドカ食いしていても太らない人もいるので、「太っている人はみんな食べ過ぎ」と言い切ることはできません。
それでも太っている人というのは、その人が持って生まれた体質と環境の中で「太った体を維持する生活」をしているから痩せないわけです。
だから、もしもある日突然にスリムな体を手に入れたとしても、それを維持するライフスタイルが身に付いていなければ、すぐに元の太った体に戻ってしまうはずです。
たとえカロリーを計算してみたり、痩せている人の行動を真似しようとしても、そんな事はまず長続きしないでしょう。
それができるくらいなら、そもそも太ったり「痩せられない」なんていう事に悩んだりする事は無いからです。
逆に、普段からスリムな体に合わせた生活が出来ている人は、その習慣を続けている限り太ることはありません。
時には食べ過ぎるてしまったり、のんびりし過ぎて体重が増えたりすることはあるかもしれませんが、大抵の場合は一時的なものに過ぎません。
「いつも通りの生活」が痩せた体をつくっているわけですから、その状態に戻るのは比較的カンタンなわけです。
ダイエットのキモは「日常生活を変える」ことにあるというのはそういう意味です。
人間はどうしても慣れ親しんだ習慣に引きずられてしまう。
だからこそ、ダイエットはなかなか成功しにくいということです。
「特訓」がもたらすもの
「絶対に痩せてやる!」と決意すると、多くの人は大きく食事の量を減らしたり、急に今までにやっていなかった運動を始めたりしがちです。
自分を変えたいと思って行動することは素晴らしいんですが、このときに努力の意味を勘違いしていると、それが大きな挫折の原因になります。
その勘違いというのは、ダイエットのための努力を受験勉強やスポーツの試合に向けての「特訓」のような、期間限定の努力と同じように考えてしまうことです。
受験勉強なら試験に受かりさえすればその努力は一応実を結んだ事になりますし、スポーツの場合でも試合などに勝つことができれば、目的は達成したと言えるでしょう。
しかし、ダイエットの場合はそういうわけにはいきません。
10キロ痩せようと20キロ痩せようと、どこかで元の生活に戻ってしまえば努力は水の泡です。
継続的な努力が必要である上に、その継続期間には終りがありません。
痩せた体を維持するための行動は、一生続けなければならないんです。
テレビなどではよく芸能人や一般人の「ダイエットへの挑戦」的な番組が作られることがありますが、その中で繰り広げられるドラマはさっき書いた「期間限定の努力」でしかありません。
トレーナーの厳しい指導に半べそになりながら運動をしたり、空腹のストレスで周りとの人間関係をギクシャクさせたりするのは、あくまでも視聴者を楽しませるための要素だと思ったほうが良いでしょう。
血と汗と涙のダイエット、波乱万丈のストーリー
ジェットコースターのように浮き沈みのある内容のほうが、視聴率は上がります。
でも、それは本当の意味でダイエットを成功させるためには完全にマイナスの要素です。
そんなことをずっと続けられるわけがないからです。
仮に「特訓」で痩せることができたとしても、本当に大変なのはその特訓ではなく、その後の「ずっと続ける」事の方です。
だから、ダイエットに大きなドラマはいらない。
いや、あってはいけないということです。
テスト勉強やスポーツの試合前の特訓のように「このつらい時期を乗り切れば・・・」という考え方は通用しません。
結果を出すまでよりも、維持の期間のほうがずっと長く、それは一生続くからです。
なので、ダイエット企画の中で痩せることに成功した人の多くは、その後にリバウンドしてまた太ってしまうことが多いです。
マンツーマンで運動指導をしてくれる高額なジムなどについても、この影響から完全に逃れることはできません。
ジムずっと通い続け得られる人ならともかく、最終的には自分で自分の生活をコントロールしなくてはいけないからです。
人間の体は「急な変化」が苦手
さらに、短期的な努力にはもう一つ大きなマイナス要素があります。
それが、体の状態を急激に変えようとすることによる悪影響です。
人間の体は、そもそも急激な変化に耐えられるようにはできていません。
例えば、登山のときに一気に高いところまで登ろうとすると、体が気圧や酸素の量の変化に対応できずに命を落とすことさえあります。
いわゆる高山病というやつですね。
普段から運動していない人がフルマラソンに挑戦しようと思ったら、最初はウォーキングのような軽い運動から徐々に体を慣らしていく必要があるでしょう。
いきなりハイペースで走り出したりすれば、すぐにバテるだけならまだマシで、下手をすれば心臓発作を起こすかも知れません。
これらと同じように、ダイエットでも「体を慣らしながら徐々に目標に近づく」ことが重要なんです。
僕の経験上、1ヶ月に総体重の5%を超えて体重を減らそうとすると、後に大きくリバウンドしたり、苦労の割になかなか結果が出なくて挫折してしまったりしやすくなります。
それなのに、ダイエットジムの広告などでは「3ヶ月で25kg!」みたいに短期間で大きく痩せたことをアピールしています。
これは、体への負担を無視してCMのインパクトを大きくしようとしているようにしか見えません。
ダイエットの目的は「急激に痩せる」ことではなく「確実に痩せる」こと、そしてそれを維持し続けることなので、急激な変化はNGということです。
挫折=失敗ではない
ダイエットと日常生活の関係について、もう一つ大事なことを伝えておきましょう。
それは、ダイエットに挫折する人の行動パターンについての話です。
ダイエットが続かない人というのは、ある程度まで努力を続けたところで食事制限や運動を続けられなくなります。
その中でも特に多いのが、何かのきっかけで食べすぎてしまったり、忙しくて運動を続けてサボってしまって、
「もうダメだ・・・やっぱり続かなかった」
と、小さな失敗で諦めて、それまでの努力を全て無駄にしてしまうというパターンです。
ダイエットというのは「続けること」が大事というのは、今までにも書いてきたとおりです。
でも、「続ける」というのは「一度も失敗しない」という事とイコールではありません。
例えば、日常的に勉強やスポーツの練習、健康のための運動をしている人でも「常にやる気100%」ということはまず無いでしょう。
何年・何十年と続けていく上では、どんなに熱心な人だって予定どおりに行動できないということが必ず出てきます。
時には面倒になってサボったり、色々なハプニングのせいで思い通りにいかないことが「まったく無い」なんてあり得ないでしょう。
実際のところ、普段は体型をきっちり管理できている人でも、つい食べすぎてしまったり、運動をサボってしまう事なんて、別に珍しくもなんともありません。
それなのに、なぜそういう人たちは太らないのか?
その答えは非常にシンプルで、太らない人は一時的に挫折しても、またいつもどおりの「体型を維持する生活」に戻るからです。
要するに痩せられない人が
普段:太りやすい生活
一時的:痩せやすい生活
であるのに対して、痩せている人は
普段:痩せやすい生活
一時的:太りやすい生活
というように、割合が違うわけです。
つまり、ルールを完全に守って生きるのではなくて、「ちゃんとできている」の割合を増やす事が重要なんです。
だから、もしも欲望に負けて暴飲暴食をしてしまったとしても、「もうだめだ・・・」なんて考えてはいけません。
仮に体重がダイエット前と同じになっていようと、いやそれどころかダイエット前よりも増えていようと、「痩せやすい生活」にまた戻るようにするべきです。
三日坊主になってしまったら、次に再開したときには4日続けることを目指せばいいし、それが達成できたら今度は1週間に挑戦すればいい。
そうやって「生活スタイルを変えるための訓練」をしていると考えれば、一回の暴飲暴食だけで「全てが台無しになった」と考えることが間違いだということが分かるでしょう。
そもそも人間の体が一度に吸収できる栄養の量には限界がありますから、短期間の間食べ過ぎたとしても、その後にまた食事制限を始めれば、意外と体重はすぐに減り始める事が多いです。
最後に
冒頭にも書いたとおり「痩せたい」というのは多くの人が持っている願望です。
ということは、それをうまく商売にすればガッポリ儲かるわけです。
だから、多くの会社や商売人が、あの手この手でダイエット商品を売り出したり、ダイエッター向けのサービスを売ろうとしています。
「これさえ買えば痩せられる」
「これを食べていれば太らない」
「このジムに入れば体型を変えられる」
そう思わせるのがダイエット商売の基本です。
もちろん、本気で人を騙そうとしているのは一部の詐欺師だけでしょうし、そういう悪質なものを別にすれば、多くの物やサービスがダイエットの助けにはなるでしょう。
でも、結局は何かが人を「痩せさせてくれる」わけではありません。
最終的には、自分自身の習慣を変えることに成功した人だけが、真のダイエットの成功者になれるということを覚えておいてほしいと思います。
(管理人へのご連絡は不要です)