片側でも筋力は半分にならない
ある人が両手(両腕)で10kgの物を持ち上げられるとして、片手(片腕)ではどれくらいの重量を持ち上げられるか?と聞かれたら、どうやって答えを出せばいいでしょうか?
普通に考えると、
10÷2=5
で5kgと答えるのが、数学(算数?)的には妥当なところだと思います。
しかし、人間の体の仕組みからすると、実はそうならない。
そしてその仕組みの性質を理解しておくと、より高いトレーニング効果を引き出せる可能性があるのです。
筋力を制限しているのは脳
「人間は元々持っている能力の一部しか使っていない」
という表現を誰でも一度は聞いたことがあると思いますが、これは筋力にも当てはまります。
さすがにいつも全力投球だと体に負担がかかりすぎるので、出来るだけ力を温存しておくようにリミッター(制限装置)が働いていると思えば良いでしょう。
それでも場合によっては、力を搾り出さなければいけないこともあります。
そのため、緊急事態や集中力が高まった時にだけ脳の働きによってリミッターが解除されて、より大きな筋力を発揮できるようになるというわけです。
集中が筋力をアップさせる
片手で何らかの動作を行うと、両手で行う場合に比べて、一本の腕あたりの「集中力」は単純計算で2倍になります。
さすがに筋力も2倍になって両腕と同じ重さを扱えるように・・・という訳にはいきませんが、それでも両腕のときの60%以上の力を出せることはザラです。
「催眠・暗示・感情と筋力の関係」のコンテンツでもちょっと触れましたが、普段は活用できない「潜在能力」が存在していて脳がそれにブレーキをかけていることがよく分かると思います。
トレーニング方法への応用
筋力トレーニングを行う上では、より筋力を搾り出して集中力を高めたほうが効果が上がりやすくなります。
なので、体の両側を一緒に鍛えるよりも片腕・片脚・片手という風に場所を限定して行ったほうが、集中力た高まる分だけ高い効果を得ることができるわけです。
もちろんスクワットやベンチプレスなどは「片方だけ」行うといっても無理がありますし、全てのトレーニング種目を左右別々に行うというのは現実的ではないでしょう。
しかし、左右の筋力に差があって弱い部分を集中的に鍛えたい場合や、特定の部分の筋力(例えば握力など)を鍛えたいと思った時には、この原理を応用できます。
片側ずつじっくり時間をかけてトレーニングするようにすることで、目的に見合った大きな効果が得られるはずです。
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