加圧トレーニング
加圧トレーニング(加圧式筋力トレーニング)は低酸素性トレーニングとも呼ばれていて、近頃スポーツ選手にも取り入れられているトレーニング方法です。
名前こそ有名になりましたが、まだまだその詳しいメカニズムまで知っているという人は少ないでしょう。
今まで研究所長が加圧トレーニングの講習会や書籍などで勉強してきた知識について、ここにまとめておこうと思います。
加圧とは何のこと?
加圧トレーニングの「加圧」とは何かと言いますと、血管を外部から圧迫する事によって血流を制限する事です。
具体的には専用のバンド等を腕や脚の付け根に巻き、一定の圧力をかけた状態で筋力トレーニングを行います。
血流を制限することによって何が起こるのでしょうか?
血のめぐりが悪くなるので、当然手足はシビれてきますし、力も入りません。
結果として筋力が大きく低下した状態でトレーニングする事になるのですが、実はこの状態でトレーニングすると不思議な現象が起こるのです。
血流の流れが悪くなると、運動によって生じた乳酸などの疲労物質の流れが悪くなり、運動している部分にどんどん溜まっていきます。
そして疲労物質が一気に溜まる事で、筋肉は危機的な状況になったと感じて、
「これはキツイ!もの凄くハードなトレーニングだ!なんとかして~」
というメッセージを脳に送るのです。
そのメッセージを受け取った脳は筋肉と同じような勘違いをしてしまい、結果としてハードトレーニングを行なった時と同じように成長ホルモンを分泌します。
この成長ホルモンが筋肉を発達させるというのが、加圧トレーニングの基本的な原理です。
加圧トレーニングの長所
通常のハードトレーニングを行なっても筋肉を発達させる事が出来るのに、なぜ加圧トレーニングがこんなにも注目されているのでしょうか?
体への負担が少ない
加圧トレーニングでは軽いウェイトでトレーニングする事になります。(重いものは持ち上がりません^^;)
しかし、成長ホルモンの作用によって最大筋力の20%程度でも十分なトレーニング効果が得られます。
そのため、関節や腱などに負担を掛けることなくトレーニング効果が得られるというわけです。
これなら、ケガの治療中のリハビリにも最適でしょう。
成長ホルモンの分泌量が増える
加圧によって分泌される成長ホルモンの量は、通常のハードトレーニングで分泌される量よりも更に多い事が知られています。
そしてそのホルモンが血流に乗って体を循環し、直接加圧していない部分の筋肉を強くしたり、骨折の回復速度を速めたりすると考えられているわけです。
加圧トレーニングの弱点
加圧トレーニングは怪我・障害の危険性が少なくトレーニング効果が大きいトレーニング方法ではありますが、残念ながら万能ではありません。
例えば、最大筋力を伸ばす必要がある場合は神経系統も鍛える必要がありますから、従来のトレーニングと上手く組み合わせて行なう必要があります。
自己流は危険!
血流を制限して行なうトレーニングですから、加圧トレーニングを自己流で行うのはとても危険です。
考案者の佐藤氏の話によれば、適当に加圧して病院送りになった人もいるそうですので、興味のある方は必ず専門家の指導を受けて行うようにして下さい。
参考文献
最後に、加圧トレーニングに関して解説している書籍を紹介しておきましょう。
加圧トレーニングの奇跡
加圧トレーニングの創始者、佐藤氏の著書です。科学的なメカニズムの解説から、加圧がもたらす色々な事例が紹介されています。
実際にお会いしましたが、佐藤氏は腕まわりが50cm以上という剛腕の持ち主です。
薬いらずの肉体改造法
筋トレによって筋肉が発達する仕組みといった様な基本的な知識から、低酸素性(加圧)トレーニングを通常のトレーニングに応用する方法などが紹介されています。
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