アイソメトリクス・トレーニング

アイソメトリクス法は静的筋力トレーニングとも呼ばれている筋力トレーニング方法の一つです。

特別な設備が無くても筋力を強化する事が出来るこのトレーンニングの具体的な方法と効果についてまとめてみましょう。

静的な筋力トレーニングとは

筋力トレーニングとしてイメージしやすいダンベルやバーベルを繰り返し持ち上げるような方法やマシン・トレーニングでは、常に関節を曲げたり伸ばしたりするのが普通です。

だから運動を続けている間、筋肉は絶えず伸びたり縮んだりを繰り返す事になります。

これに対してアイソメトリクス法による筋力トレーニングでは、体の動きはほとんどありません。
ほぼ同じ姿勢のまま筋肉を緊張させる、言い換えると筋肉を同じ長さのままキープするトレーニング方法なのです。

ちなみにアイソメトリクスの頭についている「アイソ」(iso)というのは「等しい」「一定の」というような意味の言葉です。

アイソメトリクス法の原理

姿勢をほとんど変えずに、筋肉の長さを変化させずに筋肉を使うにはどうすればよいのでしょうか?

分かりやすい例として、人の力では絶対に動かせないようなの壁や柱などを力いっぱい押すところを想像してみてください。

アイソメトリクス法は姿勢を保ったまま筋肉を緊張させる方法です

この時、壁や柱は当然動きませんので、姿勢が大きく変わることはありません。

しかし、押している人の方は一生懸命壁に圧力をかけている分だけ筋力を使い、運動しているわけです。
当たり前の話ですが、これもかなり疲れます(笑)

簡単にいうと、これがアイソメトリクス法による筋力トレーニングの原理です。

具体的なトレーニング方法

それでは、アイソメトリクス法による筋力トレーニングの具体的なトレーニング方法をいくつかご紹介しましょう。

上腕二頭筋と上腕三頭筋の筋トレ法

どちらか一方のヒジを約90度に曲げた状態でその手のひらを上に向け、もう片方の手の平を上からかぶせるようにして合わせます。

この状態で曲げている腕をさらに曲げるように力を込め、上から押さえている手はその力に対抗するように上から押し返してみて下さい。
つまり、右手と左手の対決です(笑)

出来るだけ最大筋力に近い力で行うのがポイントです。

アイソメトリクス法の例1

この方法によって、曲げている方の腕の上腕二頭筋と押さえつけている腕の上腕三頭筋を鍛える事ができます。

7秒程度を1セットとして数セット行うのが効果的です。

大腿四頭筋とハムストリングスの筋トレ法

まず、椅子に腰掛けた状態で両足の足首を交差させます。

そして、下になっている方の脚はヒザを伸ばす方向に力を込め、上になっている方の足は下になっている方の足を押さえつけるように力を込めましょう。
今度は右脚対左脚の対決というわけです。

アイソメトリクス法の例2

こちらも7秒程度を1セットとして数セット行います。

アイソメトリクス法の特長

アイソメトリクス法はその方法も特徴的ですが、効果も普通の筋力トレーニングと異なる部分があります。

比較的大きな筋力を発揮することになるため筋力を伸ばす効果は大きいのですが、角度を固定して力を入れるため強化される筋力は鍛えている時の関節の角度付近に限定されてしまうのです。

例えば、ヒジを90度に曲げて力を入れる方法で筋肉を鍛えた場合、ヒジの角度がだいたい90度になっている状態での筋力強化には大きな効果があります。
その半面、その他の角度の筋力はあまり鍛えられないのです。

だから、色々な角度の筋力を強化するためにはセット数を増やし、関節の角度を変えながら行う必要があります。

このため、スポーツなどの実戦的な動きで発揮するための筋力を鍛えたい場合などには、あまり効率的ではないというのがこの筋トレ法の短所です。

しかし、特別な設備が無くても最大筋力に近い負荷をかけながら筋力トレーニングを行えるという点では、とても魅力的な方法とも言えるでしょう。

ジムに行けない間の筋力維持や、通常の筋力トレーニングでは鍛えきれない部分の補強など、色々な目的に活用する事ができると思います。

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