催眠・暗示・感情と筋力の関係

人間は普段、持っている筋力の全てを発揮することは出来ないと言われています。

フルパワーで動こうとすれば体がひどく疲れたり、怪我をする可能性も高くなるわけですから、力を加減することでそういう危険を減らしているというわけです。

逆に言えば、ブレーキとなっている要素を外すことで、眠っている力を呼び起こして普段以上の力、いわゆる火事場の馬鹿力のようなものを発揮できることになります。

より大きな力を発揮できるということは、よりたくさんの筋繊維を同時に働かせるということですから、これを筋力トレーニングに応用できれば理想的!

・・・ということで、催眠や暗示・感情の変化など人間の潜在能力を引き出す要因と、筋力の関係について考えてみたいと思います。

催眠術で25%の筋力アップ?

まず気になるのが、人間の心の状態を変化させる事でどれくらいの影響があるのか?ということ。

これについては1960年に生理学者のアーサースタインハウス氏と猪飼道夫氏という方々がとても興味深いデータを残しています。

彼らは被験者に何種類課の刺激を与えて、筋力にどのような変化があるかを調べました。
その結果は次の通りです。

・催眠術をかけた場合: +26.5%
・薬物(アンフェタミン)を投与した場合: +13.5%
・スターターピストルの音を聞かせた場合: + 7.4%
・叫びながら動作を行った場合: +12.2%

催眠術の効果が一番高くて、続いてアンフェタミン投与、叫び、ピストルの順番となっています。
(ピストルの音というのは原文では「Gas shot」となっていたのですが、恐らく陸上競技に使うピストルのような音を合図に力を入れる、というような実験をしたんだと思います。)

催眠術や自己暗示などによって精神状態が変化すると、潜在能力を発揮できることがあります

いずれにしても、神経の興奮状態が筋力に与える影響はかなり大きいものであることが分かるでしょう。

さすがに筋トレ前に催眠術をかけてもらったり薬物を注射するわけにはいきませんが(笑)、「叫ぶ」だけでも12.2%の筋力アップというデータが出ているのは驚くべきことです。

実際に叫ぶかどうかはともかくとして、精神状態を変えることで少しでも能力アップできるのであれば、何とかしてその原理を活用したいところです。

例えばですが「腹の立つことを考える」とか、「筋力が上がったという自己暗示をかける」というような手軽な方法でも、筋力トレーニングの効率を高められる可能性はあると思います。

また、「アドレナリン増加で筋力アップ!」のコンテンツに書いたような方法でも、ある程度の筋力アップは実現できるでしょう。

筋トレ暦と個人差

以前に研究所長はプロスポーツ選手と一般人に催眠術をかけて、それぞれの筋力の変化を比較する実験の映像を見たことがあります。

握力を対象とした筋力の比較でしたが、一般人の筋力が10%以上も上昇したのに対して、スポーツ選手の筋力アップはわずか2~3%でした。

これは恐らく、普段からトレーニングによってある程度の潜在能力を引き出せるようになっているためだと考えられます。
「初心者の急成長」で書いた内容と同じ理屈ですね。)

発揮できる潜在能力の個人差

なので、テンションを上げたり自己暗示をかけるというような方法にも、かなりの個人差があるかもしれません。

ただ、たとえその効果がわずかだったとしても、逆に失うものが何も無いのも事実。
少しでもトレーニング効果を上げたいと思うのであれば、試す価値は十分にあるのではないでしょうか。

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