天然神話は真実?(前編)

ビタミンやミネラルのサプリメントは天然原料から作られた方が効果が高い、という話をよく聞きます。

しかし逆に、人工的に合成しても効果はそれほど変わらないと主張する専門家もいるのです。

今回はサプリメントの天然成分・人工合成分の効果の違いについて考えてみたいと思います。

言葉のイメージ

言葉のイメージとして「化学物質」「人工合成」などと言うと悪いイメージがあり、「自然の成分」「天然由来」なんて言うと安心なイメージがありますよね。

でも科学的に考えると、天然の成分の中にも毒性があったり長い間食べ続けることによって害になるものはたくさん存在しますし、逆に人工合成した方が純度が高く安心して使える成分もあるのです。

天然成分だから高品質、合成だから低品質とは限りません

例えば医薬品製造の現場では安全性を追求するために、人工合成した高純度の栄養素がよく使われます。

逆に天然の成分では不純物や汚れ、農薬などの混入の可能性があるために使えない場合もあります。
(ちなみに研究所長の前職は、そういう成分の検査でした)

つまり天然だから高品質、人工合成だから低品質というように単純には決められないという事です。
言葉のイメージだけに惑わされずに、本質を見極めることが大事だと思います。

化学物質が同じなら効果も同じ

ビタミンやミネラルだけでなくあらゆる物質について、科学には絶対的な一つの法則があります。
それは同じ化学物質ならその効果は全く同じということです。

例えば道端に転がっているクギから取った「鉄」も、魚の赤身から取った「鉄」も、一緒に混ざっているものを全て取り除けば全く同じ性質の鉄分子。

この2つは同じ性質を持っています。

時々「人間の体は人工の栄養素は体を受け付けない」というような解説を目にする事がありますが、これはあくまでもわかりやすく説明するための表現に過ぎません。

厳密に言えば「人工だから受け付けない」のではなく、「人工の栄養素に天然との違いがあると、人の体はそれを受け付けない」ということです。

天然と人工の効果の違いは?

それでは人工合成でも天然成分から作ったサプリメントと全く同じ効果があるかというと、もちろんそうとも言い切れません。

例えば人工的に合成されているビタミンEなどは、化学物質としての構造が天然のものと違うために効果が落ちてしまう場合も多いです。

人工的に天然の成分と同じ物が作りやすいビタミンA・B・C・Dでも、一緒に含まれている成分の違いで効果に差が出る場合があることが知られています。

そういうことを総合的に考えると、きちんと作られたものであれば天然成分から作ったサプリメントの方が良質な栄養素が多いというのは事実だと思います。

ただし天然成分にこだわって作られているサプリメントは作るのにお金がかかるので、製品の値段もどうしても高くなってしまうのが悩みの種でもあります。

さらに、天然成分をアピールしていて値段が高くても質の悪いサプリメントも存在するので、この点にも気を付けなくてはいけません。

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