食品一日30品目の根拠は?

「健康のために一日30品目の食品を」という言葉を聞いたことがある人は多いと思います。

色々なものをバランスよく食べるのが健康に良さそうであることは簡単に想像できますが、なぜそれが「30品目の食品」という指定になっているのでしょうか?

今回は食品の品目数と栄養のバランス、そして「30品目」の具体的な根拠についてまとめてみましょう。

食品の品目数とバランスの関係

そもそも「一日30品目」という表現は、1980年代に厚生省(今の厚生労働省)が発表した食生活に関する指針が元になっています。

そしてこの指針には「塩分の摂りすぎに注意」とか「脂肪の取りすぎに注意」という注意書きを含んでいるものの、どんな食品を30品目摂ればいいかということについては触れていません。

それでも食生活の中で食べる食品の種類を増やすということは、栄養バランスを整える上で一定の意味があったと考えられます。

その理由はこうです。

仮に人間に必要な栄養素を大ざっぱに6種類に分けたとしましょう。
この6種類というのは例えば以下のような感じです。

1.タンパク質を多く含む食品
2.糖質を多く含む食品
3.脂質を多く含む食品
3.ビタミンを多く含む食品
5.ミネラルを多く含む食品
6.食物繊維を多く含む食品

これを次の様にダーツの的に配置して、壁にかけます。

ダーツの的と栄養

ダーツの的ですから、当然壁にかかっていればダーツの矢を投げたくなるものが人情というもの(?)でしょう。

さて、壁の的に向かって矢を投げる時に、
投げる矢の本数=食べる食品の品目数
だと考えて下さい。

一種類の食品しか食べないということは、投げる本数が1本ということですから、栄養的にはものすごく偏った状態になる可能性が高いです。

ダーツの的と栄養

しかし、本数が増えれば増えるほど、確率的には矢がバラケていき、「特定の栄養だけ摂れない」という確率はどんどん下がっていくことになるでしょう。

ダーツの的と栄養

つまり摂取する食品の品目数を増やすということで、確率論的に栄養のバランスが整いやすくなるということを示しているのです。

30品目の根拠について

しかし「30」という数字については、きちんとした根拠は存在しないようです。

そもそもどんなに食品の品目数だけを増やしたみたところで、ダーツの的の下の方ばかりとか、上のほうばかりに矢を命中させていてはあまり意味がありません。

健康と栄養に関して人々の関心が薄かった頃ならともかく、今はほとんどの食品に栄養成分表示がされている時代です。

だから栄養に関心を持って食べるものを選びさえすれば、自分の投げる矢(食べる食品)が的のどの位置に命中するかについては、大体の判断がつくと思います。

理想の食事を考える上では、栄養の知識を身に付けることで、ダーツの矢をバランスよくターゲットに命中させるのが効率の良い栄養摂取と言えるのではないでしょうか。

ちなみに2000年に改訂された「食生活指針」からは、30品目という記述が削除されているようです。

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