運動前糖質補給でスタミナ低下?

筋力トレーニングやスポーツの練習などの前には、運動中にエネルギー切れを起こさないように糖分を含む食べ物や飲み物で糖質補給をする人が多いと思います。

これは理論的には正しい方法なのですが、補給する糖分の種類によってはトレーニング中のスタミナ低下につながる可能性もあるということを知っておいてください。

グルコースと低血糖

一口に「糖質」と言っても、ブドウ糖や果糖、麦芽糖やデンプンなどその種類は色々です。

そして糖質の中でも特に血糖値を上げる効果が高いと言われているのが砂糖などに含まれるブドウ糖。
実はこのブドウ糖が「摂り方によっては運動中のスタミナ低下を引き起こす」と言われているのです。

血糖値を上げるはずのブドウ糖を補給したのに、なぜ低血糖になるのか?
その理由には、人体が持っている体の状態を一定に保とうとする機能(恒常性)が関係しています。

下の図を見てください。

糖質の摂り方によっては、血糖値が下がりすぎることがあります

ブドウ糖を摂ると、血糖値は一時的にかなり高い状態になります。
そこで人体はインシュリンなどのホルモンを分泌して、高くなった血糖値を普段の状態に戻そうとするわけです。

さらに、運動中はエネルギーを必要としている体中の色々な細胞によっても血液の中の糖分が使われていくため、血糖値を下げようとする力がダブルパンチで働きます。

これによって血糖値が普段の状態よりも低い低血糖の状態になり、お腹が空いたときのエネルギー切れのような現象が起こるのです。

スタミナ低下を防止するには?

それでは、このスタミナ低下を防ぐ方法について考えてみましょう。

ブドウ糖以外の糖分を補給する

まず一つ目は、根本的な解決法としてブドウ糖以外の糖分、たとえば果糖やデンプンなどで栄養補給をする方法です。

多少は消化に時間がかかるものの、ご飯やパンなどのデンプンなら低血糖になる反応は起こりにくいですし、運動直前なら糖分として果糖を使っているスポーツドリンクやフルーツジュースを飲むという手もあります。

血糖値を急激に上げないよう工夫する

低インシュリンダイエットのページでも書きましたが、糖分を含む飲み物を薄めたり、吸収の遅い他の栄養と混ぜることで、血糖値の急激な上昇を抑えることができます。

エネルギー源として砂糖を含むスポーツドリンクしか用意出来ないときは、水で薄めて運動前~運動中の間に少しずつ補給したり、アミノ酸やプロテインなどと一緒に飲むようにすれば、スタミナ切れを防ぐ効果が期待できます。

運動時間を短くする

血糖値低下によるスタミナ切れは、だいたい糖質を補給してから1時間強くらい経って起こることが多いようです。

だから1時間程度で終わるような内容のトレーニングなら、運動直前にブドウ糖を含む食べ物・飲み物で栄養補給しても大きな影響は無いでしょう。

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