スポーツと作用と反作用の関係2
さて、それでは前のページに続いて、スポーツに作用・反作用がどう影響するかについて見てみましょう。
綱引きと体重
図のように、二人の人物がお互いにロープを引っ張り合っているところを想像してみて下さい。
どちらかが強い力でロープを引っ張った場合、自分自身も同じ力で相手に引き寄せられることになります。
たたし、この二人の体の体格が大きく違っていて一人は100kg、そしてもう一人は50kgだったら一体どうなるでしょうか?
100kgの人がロープを引っ張れば、反作用の力で100kgの人が移動するよりも先に、50kgの人が引き寄せられることになるでしょう。
逆に50kgの人がロープを引っ張った場合、100kgの人が動く前に自分自身が100kgの人のほうに移動してしまうことになります。
これは50kgの人が反作用に耐える力が、100kgの人の約半分しかないためです。
どんなに怪力だろうが、どんなに根性があろうが、重心を保つ力は体重によって変わるので、どうしても有利・不利が生まれることになるわけです。
もちろん実際の綱引きでは重心のかけ方などいろいろな要素が関係するため必ずしも体重が勝負を決めるわけではありません。
それでも、体重を無視して綱引きを行わせたりすれば不公平になるのは明らかです。
押し合う場合も同じ
それでは、さらに応用編としてお互いに強い力で押し合う場合について考えてみましょう。
条件はさっきと同じで 「100kgの人 vs 50kgの人」です。
100kgの人が50kgの人を強く押せば、100kgの人がバランスを崩すよりも先に50kgの人が押し退けられることになるでしょう。
50kgの人を押し退ける力を出すくらいであれば、100kgの人はその反作用の力に対して体重で対抗できるからです。
逆に50kgの人は、力をこめて100kgの人を動かそうとすれば自分自身が後ろに下がっていってしまうことになります。
なぜなら100kgの人を押し退けるために発生する反作用の力に対して、自分の体が軽すぎて重心を保つことが出来ないからです。
これはパンチやキックなどの打撃にも言えることです。
どんなに力があっても自分の体重が軽ければ、帰ってくる反作用によってバランスを崩したり、十分な打撃力を相手に与えにくくなってしまうということになります。
このような物理の法則は、スポーツを「科学的に」考える上で欠かせない要素なので、ぜひ意識しておいてください。
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