慣性とスポーツと肉体改造3
前のページ、そしてその前のページに引き続き、慣性の法則シリーズをお届けします(笑)。
今回は、より実戦的なスポーツの動きに対して、慣性の力がどのように影響してくるのか?ということや、動作と慣性の力の強さの関係などについて解説していきましょう。
スポーツの動きと慣性の力
格闘技では相手にパンチやキックを当てるために、ほぼ体が止まった状態からいきなり技を繰り出す動作が必要になります。
球技であれば相手のディフェンスを交わすために一瞬で違う方向に走り出す、というような動作が求められることになるはずです。
とりあえず重心が落ち着いてから、体に負担をかけずに次の動作を・・・なんて言っていたのでは、とても試合に勝つことは出来ないでしょう(笑)
「急」のつく動作をいかに早く行うかが、スポーツの能力を決めるといっても過言ではないくらいです。
さて、この急激な動きを考える上で重要なのが、動作と慣性の力の強さの関係です。
具体的な例を挙げて説明しましょう。
体重50kgの人が歩いていて、あるところでグッと足を踏ん張って立ち止まりました。
つまり、動くことによって発生していた慣性の力に逆らってにブレーキをかけたということです。
このとき、ブレーキをかけるのに必要になった力を100としましょう。
それでは仮に、体重100kgの人が同じ速さで歩いていた場合、ブレーキをかけるのに必要な力はいくつになるでしょうか?
そう、重量が2倍になっていれば当然運動エネルギーも倍の200となります。
しかし、仮に脚力が2倍だったとしても、ブレーキをかける力も2倍にできるかというと、残念ながらそうではありません。
まず足の面積が同じなら得られる摩擦力にも限りがあります。
さらに、なんとか下半身を踏ん張ることが出来ても、重い上半身も慣性の影響を受けているわけですから、体重が軽い場合よりもずっとバランスを保ちにくくなるでしょう。
そうすると、体を安定させるために色々な部分の筋肉が必要になり、さらにその筋肉の重さによってさらにパワーが必要・・・という堂々巡りになってしまいます。
パワーと重量の関係
このように重さが増えると、その物体の運動をコントロールために必要な力はそれを上回って増えていくという性質があります。
これは、体重が重くなりすぎると、筋力でそれをカバーするのは非常に難しいということを意味しています。
単純思考で考えると、「体重が増えても筋力が付けば体の重さをカバーできるから、素早い動きができる」と思いがちです。
しかし、残念ながら筋肉がついて重くなった体重は、パワーよりもスピードを求められるスポーツでは「足かせ」になる場合もあるということを覚えておいてください。
体重制限の無いスポーツを行っている人でも、パワーとスピードのバランスについては十分に考えてトレーニングメニューを組んでいく必要があるということです。
(管理人へのご連絡は不要です)