走る能力と上半身の筋肉

短距離では100m走や400m走、長距離では10000m走やマラソンなど、陸上競技で「走る」系の種目で直接力を発揮するのは、何と言っても脚の筋肉です。

しかし、トップレベルの短距離走の選手を見ると、上半身の筋肉までムキムキ。
長距離走の選手にしても、短距離走の選手ほど太くはありませんが、強く・しなやかな筋肉を持っています。

速く走るにも、やはり上半身の筋肉は必要なのでしょうか?

走る動作と筋肉のはたらき

人が歩いたり走ったりするときに直接地面を蹴ったり、膝から先を前に振り出したりするのは、確かにお尻や脚、そして足など下半身の筋肉です。

しかし、歩く、又は走るときに働くのは決して下半身の筋肉だけではありません。

上半身の筋肉とバランス

ここで一つ実験です。

大股で何歩か歩いてみて、自分の体がどのように動いているかを確認してみて下さい。
ポイントは、右足を前に大きく踏み出したとき、上半身がどうなっているか?ということです。

恐らく、動作をスムーズに行おうとすると、無意識に左の腕を前に出して、上半身を時計回りに捻ろうとするはずです。

バランスを取るために上半身を動かす

当たり前ですが、上半身と下半身は腰の部分で繋がっているので、上半身をまったく動かさずにどちらか片方の足を前に出そうとすれば、体のバランスは大きく崩れてしまいます。

上半身の筋肉と捻り(ひねり)の力

次に、二つ目の実験をしてみましょう。

今度は、地面に置いたボールを右足で思いっきり蹴る動作を行ってみてください。

ボールや広い場所がなければ、出来るだけリアルにボールをイメージしながら蹴る真似だけ行ってもOKです。

確認のポイントは、ボールを蹴る前に右足を大きく後ろに引き、動作にタメを作っている時の上半身の状態です。

大きな力を生み出すために上半身をひねる

右足を強く・大きく蹴り出す前には、右足を後ろに引くと同時に右肩を前に出し、体を捻って反動をつけると思います。

そして、全身の捻りの力を右足に伝えることで、強いキックが出せるようになるわけです。

陸上選手にも強い上半身の筋肉が必要

短距離走では、強い下半身の動きに合わせて、瞬時にバランスを取ったりその動きを助けるために、パワフルな上半身の筋肉が必要になります。

長距離走の場合は短距離走ほどのパワーは必要ないにしても、長い時間にわたって安定して動作を反復するだけの上半身の筋力が必要になるでしょう。

もしもこれが嘘だと思うなら、どうか腕を頭の後ろで組んだ状態で、上半身をまったく動かさずに走ってみてください。

その状態でも普段と同じ速度で同じ距離を走れたなら、あなたは上半身の筋力を使わずに走れる「超人」に違いありません(笑)。

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