パワーリストの効果
パワーリストはご存知のとおり、手首に砂や鉄粉の入ったバンドを巻くことによって体を鍛えるという道具です。
「パワーリストで筋肉は付きますか?」という質問をよくいただくので、コンテンツにまとめてみることにしました。
筋力トレーニングの代わりになる?
パワーリストはダンベルやバーベルと違って、常に身につけている事が可能な器具です。
それなら、ただ身に付けてさえいれば筋力トレーニングを行ったようなトレーニング効果があるんでしょうか?
これは非常に気になるところでしょう。
そこでまずは、パワーリストを装着して生活する事と、普通の筋力トレーニングの間にどのような違いがあるかを分析してみましょう。
時間あたりの負荷のかかり方
筋力トレーニングというのは限られた(短い)時間の間に筋肉に対して強い負荷をかける運動です。
強い負荷がかかることにより筋肉が「これはヤバイ!もっと強くならなくては!」と危機感を感じる事が刺激になって筋力がアップするわけです。
負荷がかかり続ける時間、つまり実際にダンベルやバーベルなどを持ち上げている時間は長くても30秒程度から1分くらいになるのが普通。
筋持久力を付けることを目的としている場合でもせいぜい数分間の運動になるでしょう。
複数の筋力トレーニング種目をこなぜば一定の時間は必要になりますが、仮に1時間の筋力トレーニングを行ったとしても、その時間の中には休憩時間や器具の準備の時間なども含まれています。
だから、実際に運動し続けている時間はせいぜいその半分~3分の1程度にしかなりません。
これに対してパワーリストは長時間付けている事ができますが、時間あたりの負荷は非常に小さくなります。
このように、時間と負荷の強さという点からみると、パワーリストを付けた時の負荷のかかり方は、通常の筋力トレーニングとは全く違うわけです。
負荷のかかる方向
次に、負荷のかかる方向についてみてみましょう。
例えば上半身の筋力を鍛える場合、腕立て伏せなどの筋力トレーニング種目が一般的です。これらの種目とパワーリストを付けた場合について、負荷の方向を比較してみることにします。
腕立て伏せの場合
腕立て伏せの場合は自分の体重が負荷となり、これに対して両腕で床を押す力で抵抗している形になります。
この時、両腕にかかってくる重量は体重の約60%くらいです。
パワーリストの場合
パワーリストの場合、ただ付けているだけではほとんど負荷がかからず、腕を持ち上げた時にだけ重力のかかる方向に抵抗する事になります。
結論
両者を比較すると、筋トレをするのとパワーリストと着けて過ごすことの間には、運動としての共通点はほとんど無いということがわかります。
刺激の種類が全く異なるわけですから、同じような効果が得られるとは到底考えられないでしょう。
長い時間ウェイトを身に付けていると、外した時に重さから開放されるので、腕が軽くなったように感じるのは確かです。
しかし、「本人の感覚」と「実際の筋力」が一致するとは限りません。
例えば、長い時間真っ暗な部屋で過ごしてから部屋の外に出れば、いつもより光がまぶしく感じられますが、これは体が「明るさの違い」を大きく感じているだけです。
これと同じように、パワーリスト外して腕が軽くなったように感じたとしても、それは筋力が強くなったからではありません。
ただし、パワーリストは役に立たない道具なのかというと、決してそうではありません。
パワーリストをトレーニングに活かす方法については、以後の記事でまとめることにしましょう。
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