EMSの効果
EMS(Electrical Muscle Stimulation)というのは筋肉を電気刺激によって収縮させる運動器具で、一時はテレビショッピングによって大ブームになりました。
「ただ着けているだけで筋トレ効果が!」というような宣伝文句が、人気を集めている理由のようです。
EMSで筋力トレーニングとしての効果を得たり、痩せたりする事はできるのでしょうか?というご質問を頂きましたので、その効果のほどを考察してみたいと思います。
EMSの原理
我々が普段筋肉を動かす時、「筋肉を動かすぞ」という意思は脳から神経を通して、微弱な電気信号として筋肉に伝わります。
そして電気信号を受け取った筋肉が、その命令に応じてギュッと収縮する事で運動が起きるわけです。
EMSの場合はこの脳からの命令という部分をスキップして、電極を体に貼り付けるなどして、皮膚の表面から電流を直接神経に流す事で筋肉を収縮させる事になります。
筋力トレーニングとの違い
それでは、EMSと通常の筋力トレーニングとの効果の違いについて考えてみましょう。
筋肉が収縮する強さ
通常の筋力トレーニングでは自分の意志で筋肉を収縮させるので、力の入れ加減を調節する事で強度を調節できます。
仮に最大筋力に近いような力を発揮したとしても人間の体は疲労すれば自然に力が出なくなるので、限界を超えて筋肉が収縮してしまうというような危険性はほとんどありません。
これに対してEMSの場合は人工的な電力によって筋肉を収縮させるので、流す電流をとても弱くして安全性を確保する必要があります。
つまりEMSを使って筋肉を収縮させる場合はごく弱い負荷の運動に限定する必要があるわけで、当然通常の筋力トレーニングの代わりにはならないと考えられます。
また、皮膚表面に電極を当てるという仕組みの特性上、運動させる筋肉は皮膚から電流が届く範囲のものに限られます。
脳と神経、筋肉の連携
EMSは脳から命令を出さずに筋肉を動かすため、通常の筋力トレーニングの様に脳や神経と筋肉の連携させる必要がありません。
なので、筋肉を強く収縮させたり、コントロールする力が身につくことは無いでしょう。
しかしこれは、逆に言えばEMSを利用することで自分の意思では上手く動かしにくい筋肉にも刺激を与えられるという事でもあります。
例えば意識して背中の筋肉を収縮させるのが苦手な人は、背中の筋肉に電極を当てて動かしてみると筋肉が収縮している感覚をつかむのに役立つでしょう。
現にスポーツ選手もEMSの刺激をトレーニングに応用している人はいるそうですので、使い方次第では運動能力向上に有効な方法になるはずです。
(ただし、スポーツ選手が使用しているのは数百万円もする高機能なEMS装置なので、効果には差がある可能性もあります。)
EMSのダイエット効果
テレビCMでも言っているように、EMSでも運動をしていることに変わりは無いので、筋肉の収縮によってエネルギーはある程度消費されます。
ただし、時間あたりの運動量はそれほど多くないため、それだけで痩せるというのはなかなか難しいと思います。
やはりEMSは普段使っていない筋肉に刺激を与えるという意味で補助的に使うのが良いでしょう。
EMSは、エステサロンなどで部分痩せを目的とした痩身用の機器として使用されることもあるそうですが、劇的に効果があったという話は聞いたことがありません。
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