大胸筋
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人間の胸の部分を大きく覆うように付いているのが、大胸筋という筋肉です。
大胸筋が収縮すると、下の図のように上腕を体の前方に振り出す力が生まれます。
従って腕を体の前方に向かって振ったり、腕を前に突き出すような動作を力強く行うためには、大胸筋の筋力が重要になってきます。
「腕力」というと腕の筋肉を連想する人が多いようですが、実際に大きな力を出しているのは大胸筋のように腕の根元を動かしている筋肉です。
大胸筋の構造
「大」という字の通り胸の部分に広がっている、とても大きな筋肉で、腕の骨(上腕骨)と鎖骨、肋骨をつないでいます。
上腕ニ頭筋や三頭筋のような複数の「頭」には分かれていませんが、面積が広いため運動の種類によって負荷のかかる部分に違いがあります。
腕を体の上の方に向かって突き出すときは主に大胸筋の上部に、まっすぐ前に突き出すときは中央部を中心として全体に、体の下方向に向かって突き出すときは下部に強い負荷がかかります。
※トレーニング種目と負荷の関係については、 下記「大胸筋のトレーニング種目」をご覧下さい。
※機能解剖学ソフトウェア「解体演書」の画像を加工して使用しています。
胸の筋肉は体の中心となる体幹筋の1つで収縮する力も強いのですが、残念ながら単体では大きな筋力を発揮できません。
実際の運動においては、上腕三頭筋など他の筋肉と連携させて使うことがほとんどです。
格闘技ではパンチを打ったり腕の力で相手を押し返すとき、ラケットスポーツや球技などではボールを投げるために腕を前に振り出すときに重要な役割を果たします。
いわゆる「胸板」の部分の筋肉なので、厚みのあるたくましい体を作るためには絶対に鍛えておかなくてはならない筋肉ではありますが、肥大しすぎるとほんの少しだけ腕の稼動範囲は狭くなります。
(大胸筋が大きく発達している人は、自分の両腕のヒジを体の前でくっつけるような動作が苦手です。)
大胸筋のトレーニング種目
ベンチプレスやプッシュアップのようなプッシュ系の筋力トレーニング種目が一般的です。
インクライン・ベンチプレスでは大胸筋の上部に、普通のベンチプレスでは全体に幅広く、ディップスでは下部に強い負荷をかけることができます。
バタフライマシンのような単関節種目では大胸筋だけに負荷をかけることも可能ですが、他の種目と併用しないと筋肥大や筋力アップの効果を得にくい場合が多いようです。
補助的に使われる筋トレ種目
上腕三頭筋を鍛えるために行う狭いグリップのベンチプレス(ナローグリップベンチプレス)などでは補助的に働くこともありますが、どちらかというと主働筋としてメインで活躍する事が多い筋肉です。
大胸筋は比較的回復速度が遅い筋肉なので、 オーバートレーニングには十分注意しましょう。
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