見せる筋肉と使える筋肉
筋力トレーニングの話になると、「使える筋肉」または「使えない筋肉」という表現を聞くことがあります。
中には、皮肉の意味を込めて、とりあえず太さだけはあるという筋肉を「見せ筋」と表現する人もいるようです。
果たして、「使える筋肉」とか「使えない筋肉」というようなものは本当に存在するのでしょうか?
そして、もし存在するとしたら、その差は何なのでしょうか?
「見せ筋」は存在しない?
筋肉とは、縮むことによって力を生み出す組織です。
そして、スポーツや筋力トレーニングのような刺激を与えると、それに適応して強くなろうとする性質があります。
筋力は断面積に比例して大きくなるので、より強い力を出すためには、どうしても太くなる必要があるのです。
(筋肉を太くしようと思ったら、ある程度強い負荷で筋トレをする必要があるのもこのためです。)
つまり、筋肉が太くなるのは、筋力が強くなったことによる副作用のようなものだと言うことができます。
だから、神経に問題がある場合などの特殊なケースを別にすれば、「太いだけでぜんせん力がない筋肉」というものは存在しないのです。
筋肉が活かされない場合もある
しかし、筋肉がしっかり付いていても、スポーツなどでそれがうまく活かせないケースがあるのは事実です。
マッチョな体を持つ選手が、格闘技の試合であっさり負けてしまったり、球技などで動きが他の選手より動きが悪かったりすると、
「使えねー筋肉だなぁ」
と思われてしまうのも無理は無いでしょう。
この現象には、3つの原因が考えられます。
筋肉の制御の問題
例えばパンチを打ったり、高くジャンプしたりするためには、全身の何十もの筋肉を、それぞれタイミングよく、連携させなくてはなりません。
この連携をさせるための十分な練習を行わないと、いくら筋肉(筋力)が強くても、スポーツでは活躍できないということになります。
これを解決するためには、技術練習を十分に行わなくてはなりません。
筋肉の質の問題
外見上は同じ「太い筋肉」でも、使い方によっては求められる性能が違います。
例えばウェイトリフティングなら力を出すのは一瞬でOKですが、ボートレースのような競技に参加するなら、ある程度の持久力も必要になるでしょう。
トレーニングの内容と使いたい競技の性質にズレがあるなら、それを修正するためのトレーニングが必要ということです。
筋肉を付けるべき部位の問題
筋肉が肥大すると、その分だけ体重が重くなったり、関節の動く角度が制限される場合もあります。
例えば、野球のピッチャーがホームランを量産する長距離打者のようにムキムキの上半身を手に入れても、あまり意味はないでしょう。
体が重くなったり、肩が動かしにくくなったりして、ピッチングではマイナス面のほうが多いはずです。
問題は鍛え方と使い方
以上のように、筋肉そのものが「見せるだけにしか役立たない」ということはありません。
ただ、鍛え方を間違ったり、使い方を練習しないと、目的の結果が出せないことはあるということです。
ちなみに、「プロテインを飲んで付けた筋肉は見せ筋」なんて言う人もいるようですが、これは全くのデタラメなので信用しないで下さい(笑)。
(詳しくは『プロテインで作る筋肉は偽物?』をご覧ください。)
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