筋トレと動作範囲の関係
筋力トレーニングを行するに、同じ種目を同じ重量・セット数で行ったとしても、フォームによってその効果は大きく違ってきます。
特に関節を曲げたり伸ばしたりする動作の範囲(可動範囲)は、筋肉に与える刺激に大きく影響します。
十分な効果を引き出し怪我を防止するために、筋トレと動作範囲の関係について知っておきましょう。
可動域を広く使うのが基本
筋力トレーニングでは、関節の可動範囲(関節が動く範囲)をいっぱいに使って動作を行うのが基本です。
具体的に言うなら、例えばアームカールを行う時は腕をしっかり伸げ伸ばしすること、スクワットではしっかり深くしゃがんで立ち上がるのが大切ということです。
動作範囲を大きくして筋肉を大きく伸ばし・縮める事によって、筋肉に大きな刺激=負荷を与えることが出来ます。
逆に曲げ伸ばしが不十分だったりすると、運動としてはより楽になりますが、筋肉への刺激は大きく減り、効果も半減してしまうでしょう。
このため重いウェイトを扱う事だけを追求してフォームが崩れたりすると、結果として成長を止めてしまう事になるので注意が必要です。
筋肉から負荷が抜ける姿勢を取らない
関節を十分に曲げ伸ばしするのが重要だとはいっても、必ず限界まで関節を曲げ伸ばしするのがいいというわけではありません。
例えば、ダンベルプレスで腕を完全に伸ばしている姿勢でいる時、スクワットではヒザを伸ばして完全に立ち上がっている時などは、筋肉にはあまり負荷がかかっていません。
これは筋肉ではなく骨格で重さを支えているためで、この姿勢をとっていると筋肉を休ませてしまうことになります。
「部分別筋力トレーニング」のコンテンツで、「ヒジ(ヒザ)を伸ばし切る一歩手前で次の動作に」というような解説をしているのも、この事に関係しています。
つまり、負荷がかからなくなる姿勢を取らないようにして、筋肉に対して持続的に負荷がかかるようにしているのです。
体質・状態に合わせて調整を
筋トレの理想のフォームというのは、すべての人に共通するものではありません。
なぜかというと、関節の可動範囲には個人差があるためです。
それを無視して無理に動作範囲を広くしようとすると、かえってフォームが崩れたり、怪我の原因になる事もあります。
例えばベンチプレスではバーベルが胸に触れるくらいまでウェイトを深く下げるのが理想とされていますが、肩関節が固い人が重いウェイトで無理に行うと、肩を痛めてしまう危険があります。
また、スクワットでは動作に慣れていない人が深くしゃがむことを意識し過ぎると、背筋が曲がりやすくなります。
背中が曲がった姿勢でのスクワットは腰痛などの原因になるので、たとえ可動範囲が狭くなったとしても、猫背にならない範囲でスクワットを行うべきなのです。
一般的に言われている「正しいフォーム」を意識することは確かに大事です。
しかし、それよりも更に大事なのは安全を追求することでしょう。
フォームを直す必要がある場合でも、軽いウェイトから体を慣らしていったり、柔軟性を高める運動を取り入れながら、少しずつ矯正するようにしていってください。
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