筋肉の付着部位と筋力の関係
人は顔つきや身長だけでなく、筋肉の性質(速筋・遅筋の割合)や骨格の太さなどについても大きな個人差があります。
そして、これが運動能力や筋力の差となって現れるわけです。
今回はあまり着目される事が無い「筋肉の付着部位と筋力の関係」について書いてみましょう。
筋肉の付着部位とは?
「筋肉の付着部位」というのはあまり聞きなれない言葉だと思いますが、意味としては文字通り筋肉が骨格とくっついている場所ということです。
「筋肉が付いている場所なんて誰でも一緒じゃないの?」
と思うかも知れません。確かに基本的にはそうです。
同じ人間ならよほど特殊な例を除いて、筋肉の基本的な構造も同じです。
ただ、同じように指の本数が5本でも人によってその長さや太さが少しずつ違うように、筋肉の付着部位にも微妙な差があるのです。
人間の関節とテコの関係
筋肉の付着部位についての詳しい説明に入る前に、まず次の図を見て下さい。
下手くそですが、シーソーの絵です(笑)
シーソーの片側に荷物を載せて、もう片方に力を入れてそれを持ち上げようとする場合について考えてみると・・・
・シーソーの支点(稼動する部分)から遠いところに力を加えれば、力は小さくてすむが、動きは大きくなる(上の図A)
・シーソーの支点から近いところに力を加えて動かそうとすると、動きは小さくてすむが、大きな力が必要になる(上の図B)
という関係が成り立ちます。
そして人間の関節にも、このシーソーのようにテコの原理が働いているのです。
筋肉の付着部位による筋力の違い
それでは、筋肉の付着部位が筋力にどのような影響を与えるかを見てみましょう。
次の二つの図を見比べてください。
左の図は、筋肉が支点に当たる関節から少し離れたところにくっついています。
この場合はシーソーの場合と同じように小さな力で関節を動かせる位置、つまり力が入りやすい付着部位と言えるでしょう。
しかし筋力が発揮しやすい代わりに、関節を大きく動かす時は筋肉も大きく収縮しなくてはいけません。
逆に右の図では、筋肉が関節のすぐ近くに付着しています。
左の図に比べると関節を動かすために大きな力が必要になる、つまり力が入りにくい付着部位の構造です。
しかし逆に言えば、筋肉は少し収縮するだけで関節を大きく動かす事ができるということでもあります。
簡単に言えば、左の図はパワー型の付着部位、右の図はスピード型の付着部位と言えるかもしれません。
上の図は話をわかりやすくするためにやや大げさに違いを描いていますので、実際の人間の関節の構造は上の図ほど極端には違わないと無いと思います。
しかし、このような小さな差がお互いに影響しあうことが、能力や体質の大きな個人差として現れてくるわけです。
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