スクワットと膝の位置について
スクワットのフォーム解説には、「膝を前に出しすぎてはいけない」という注意事項が必ずと言っていいほど書かれています。
その理由は膝を前に出しすぎると膝にかかる負担が大きくなり、膝を痛めやすくなるというもの。
しかし、なぜ膝を前に出すと膝間接への負担が増すことになるのか?という事については、あまり詳しい解説を見かけないように思います。
この問題について、当研究所なりの分析をしてみることにしましょう。
膝の位置による力のかかり方の違い
それでは、膝の位置による力のかかり方の違いを、図にして表してみることにしましょう。
まず、膝を前に出さないでしゃがんだ場合。
膝を前に出さなければ、膝から下の脛(すね)の部分は床とほぼ垂直になり、上からの力には強い安定した状態を保つことができます。
これは、地面にまっすぐ立てた棒を真上から押しても倒れないのと同じです。
この状態から立ち上がった姿勢に戻るために膝関節が行う仕事は、安定した床の上に立って重量物を押し上げる、というような感じになるでしょう。
次に、膝を前に出してしゃがんだ場合です。
膝が足よりも前にある姿勢で上から力がかかると、すねの部分が前に倒れていく力が発生します。
これは地面に斜めに立てた棒を上から押したときと同じです。
この状態から立ち上がった姿勢に戻るために膝間接が行う仕事は、膝を前に出していない時よりもはるかに大変です。
両側から閉じられていく大腿骨(太ももの骨)とすねの骨を、支えの無い状態で真ん中から押し広げなくてはなりません。
膝を大きく前に出していたりすると、膝関節はテコの原理で物を押しつぶすペンチの蝶番(ちょうつがい)のような状態になり、その負担はとてつもなく大きなものになるでしょう。
そして、トレーニングのたびにこれを繰り返していると、関節を支えている組織がダメージを受け、膝を痛める確率が高くなる…。
これが当研究所が考える、「膝を前に出しすぎてはいけない」の根拠です。
皆さんもスクワットなどの筋トレ種目を行う時は、くれぐれも大事な膝関節を痛めないように注意してください。
筋肉が付いてマッチョになっても、膝に爆弾を抱えていたのは悲惨な老後を迎えることになりかねませんので(笑)。
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