最大筋力の計算と精神面の影響
「筋トレ記録の分析方法」でも触れたように、最大筋力というのは普段のトレーニングの重量や持ち上げた回数(限界回数)から求めることができます。
わざわざ危険を冒して限界ギリギリの重さを持ち上げなくても、トレーニングの記録と電卓さえあればすぐに計算できるわけです。
しかし、実は人間の最大筋力には精神的な要因も大きく関わっていて、必ずしも計算どおりの力が出せるわけではありません。
心が変える最大筋力
人間の能力は肉体のコンディションが同じでも、精神の状態によって能力が大きく変動することがあります。
例えば、その日の気分というようなちょっとした事でも、持ち上げられる重量や回数は変わってくるでしょう。
話はちょっと極端になりますが、「催眠・暗示・感情と筋力の関係」に書いた催眠術のような手段を使えば、大幅な筋力アップが可能になる場合もあります。
スポーツ選手が積極的にメンタル・トレーニングやイメージ・トレーニングを行うのも、限界ギリギリの勝負を行う世界では心の状態が結果に大きく影響するということを知っているからです。
最大筋力に対する心の影響
人は自分の限界に近いような重さを持ち上げるとき、
「本当に持ち上がるだろうか・・・?」
という不安が心の中に生まれます。
「私に限ってはそんなことは無い。絶対に持ち上げてやる!というつもりで最大重量に挑戦している。」
という勇ましいトレーニーでさえ、この影響から完全に逃れることは出来ません。
仮に「絶対に持ち上げる!」というくらいポジティブな気持ちになれたとしても、それは普段とは違う精神状態であることに変わりはありません。
「心が身構えている状態」を作るということは心の奥底で「持ち上がらない可能性」を認めていることでもあるのです。
その結果、実際に持ち上げられるという意味での最大筋力は、普段のトレーニング結果から計算する「計算上の最大筋力」よりは少し低くなる事が多いです。
だから、もしも計算上の最大筋力にあたる重量のバーベルを持ち上げようとして失敗してもガッカリすることはありません。
それはむしろ自然なことであると考えるべきでしょう。
「限界に近づくほど気合が入って筋力アップする!」という人もいるかもしれませんが、それはかなり珍しいケースです。
実力発揮のためにのメンタルトレーニング
筋力トレーニングを行う上では、最大筋力はトレーニング重量などを決めるための「目安」として使われるくらいがせいぜいですから、多少のズレは大きな問題にならないはずです。
ただし、パワーリフティングやベンチプレスの大会のように、最大筋力そのものが勝負を決める競技に参加する場合は話が違います。
パワーリフターには、メンタルトレーニングによって計算上の最大筋力と実際の最大筋力の差を出来るだけ小さくしていくことが求められるでしょう。
(管理人へのご連絡は不要です)